
近年、子どもが登下校中に巻き込まれる交通事故が後を絶ちません。特に、2021年6月には、千葉県八街市で下校中の小学生の列にトラックが突っ込み、5人が死傷した事故は社会に大きな衝撃を与えました。
この悲惨な事故をきっかけに、全国で通学路の安全対策が見直され、危険箇所を点検する「通学路合同点検」が進められています。
しかし、現場では依然として事故データの活用が十分とは言えず、危険箇所の把握や対策の優先順位づけに課題が残っています。
総務省行政評価局が行った「生活道路における交通安全対策に関する政策評価」の調査結果から、その現状と改善の方向性を見ていきます。
通学路の安全確保に向けた「合同点検」では、学校・道路管理者・警察が連携して危険箇所を確認し、施設整備や交通規制、啓発活動などを行っています。
一般的な流れは、①学校が保護者や地域住民の情報をもとに危険箇所をリスト化、②関係者が協議して点検箇所を選定、③現地確認を行って対策を検討するというものです。
しかし、危険箇所の選定に事故データを活用している例はまだ少なく、市区町村教育委員会からは「事故データを使う発想がなかった」「現地確認の効率化に役立つのでは」「ヒヤリハット情報に加えビッグデータも活用すべき」といった声が上がっています。
一方で、事故データを活用している事例もあります。
武蔵野市教育委員会では、学校からの情報に加え、警察から提供される事故の発生箇所、日時、形態、当事者の年齢などを利用して点検箇所を選定しています。
鴻巣・伏見・津・東広島の各警察署では、事故の発生箇所や時間帯、形態、件数などを学校に提供しています。
これらの事例は、通学路点検に事故データを活用することにより、危険箇所の客観的把握や対策の優先順位付けが可能になることを示すものです。
今後、教育委員会・警察・道路管理者がデータ連携を強化し、ヒヤリハット情報や事故データを組み合わせた科学的な安全対策の推進が期待されているのではないでしょうか。

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