
近年、自転車関連事故が社会問題となっています。交通ルールを守る意識が低いことがその一因となっている中、市区町村は、事故防止対策としてどのような取組みを行っているのでしょうか。総務省行政評価局が行った「生活道路における交通安全対策に関する政策評価」の調査結果から見ていきます。
毎年の自転車関連事故件数を把握しているのは235市区町村(56.9%)、把握していないのは178市区町村(43.1%)で、半数近くが件数を把握していません。
事故発生箇所を「おおむね把握している」のは44市区町村(10.7%)、「一部のみ把握している」のは120市区町村(29.1%)、「ほとんど把握していない」のは249市区町村(60.3%)と、発生場所の把握は、さらに低調です。
令和元年に40件以上の自転車事故が発生した市区町村に限ると、件数把握率は71.9%、発生箇所の把握率は18.7%と高くなりますが、全体的には情報把握が十分とは言えません。
また、生活道路で自転車事故対策(矢羽根型路面表示、自転車ピクトグラム、止まれマーク、注意喚起看板など)を実施しているのは190市区町村(46.0%)で半数以上が未実施です。
事故件数が多い市区町村ほど自転車事故対策の取組率は高く、40件以上の事故がある自治体では70.1%が実施しています。
取組を行う190市区町村のうち、整備箇所の選定や施設内容の決定の際、自転車関連データ(交通量や事故発生箇所など)を「おおむね参考にしている」のは49市区町村(25.8%)、「一部参考にしている」は75市区町村(39.5%)、「ほとんど参考にしていない」は66市区町村(34.7%)で、データ活用は限定的です。
取組を行っている市区町村は、その理由として「自転車利用者が多い」「事故が増加している」「他自治体より事故件数が多い」「事故全体に占める割合が高い」などを挙げています。
中には、警察から提供された事故データを基に、事故多発箇所や自転車指導啓発重点地区・路線で施設整備を行う事例もありました。これらの自治体は、データに基づく科学的な整備を進めています。
一方、取組を行っていない市区町村では、「自転車事故が少なく住民要望も少ない」「事故原因が利用者のマナーやルール違反によるものが多く、施設整備では限界がある」としています。
また、取組を行っている市区町村からも、「ルールを守らない自転車への対策に苦慮している」「マナーやルールに関する啓発・安全教育が重要」「警察による取締り強化や交通反則通告制度の導入に期待している」といった意見が寄せられています。
総じて、自転車関連事故は減少傾向にあるものの、生活道路全体の事故減少率を下回り、事故割合は増加しています。法令違反が多く、出会い頭や右左折時の事故が中心であることから、施設整備だけでなく、教育・啓発・取締りの三位一体の対策が求められています。
国はガイドライン改定や法制度の強化を進めていますが、市区町村レベルでは事故データの把握や活用が十分でなく、科学的根拠に基づく整備が広がっていません。
今後は、国・警察・自治体が連携し、事故データの共有と分析を進めることで、生活道路における自転車関連事故を防ぐための効果的な仕組みを構築することが望まれるのではないでしょうか。

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