名古屋ライドで中学生が逮捕!

◎危険な自転車集団走行を愛知県警が警戒

 愛知県内では、少年らによる危険な自転車の集団走行が相次ぎ、SNS上で「名古屋ライド」と呼ばれて拡散されています。

 愛知県警によると、2025年9月頃から名古屋市やその周辺で、少年らがSNSを通じて仲間を集め、自転車による集団走行を繰り返しています。道路いっぱいに広がって走行したり、前輪を浮かせる「ウイリー走行」を行ったりするほか、対向車と衝突しそうになる危険な運転を繰り返しています。

 さらに、交番の前や110番通報の電話口で大声を上げて逃走するなどの迷惑行為も確認されており、その様子を撮影した動画がSNS上で投稿・拡散されています。

 こうした危険行為に対し、愛知県警は摘発を強化しています。

 2026年9月9日には、同年7月30日に長久手市内でウイリー走行を行い、路線バスの通行を妨害したとして道路交通法違反(妨害運転)の疑いで、瀬戸市と尾張旭市の14歳の男子中学生2人が、逮捕されました。

 また、2026年9月29日には、同年7月11日に名古屋市港区の国道で、380メートルにわたりパトカーの前で低速の蛇行運転を繰り返したほか、自転車でパトカーに割り込んで通行を妨害したとして、公務執行妨害、道路交通法違反(妨害運転)の疑いで瀬戸市と春日井市の14歳の男子中学生2人が逮捕されました(瀬戸市の中学生は上記と同一人物)。
 警察によると、当時現場には約40人の少年が集まっていて、逮捕された少年もSNSでの呼び掛けに応じて現場に集まりました。少年は警察官の注意を無視し、笑いながらスマートフォンで動画を撮影していました。

 愛知県警は、こうした集団走行が歩行者や一般車両を巻き込む重大事故につながるおそれがあるとして警戒を強めています。「遊び半分の気持ちかもしれないが、違法行為があれば厳しく対応する」としています。
 このほかにも、愛知県教育委員会や名古屋市教育委員会に対し、児童・生徒への注意喚起を要請しています。警察による取り締まりだけでなく、学校や家庭での継続的な指導も必要と判断されたのでしょうね。

◎愛知県警は公式Xで注意喚起

 愛知県警察では、公式Xを使って何度も注意喚起や厳しく取り締まることを意思表示してきました。

 9月1日には、「自転車でのウイリーや広がり走行など他車に対する妨害運転事案が多発しており、捜査中です」と投稿。その上で「自転車でも道路交通法違反(妨害運転)は成立し、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の重罪です」と発信しています。 

 続いて、9月9日には、自転車で妨害運転をした少年を逮捕したことを投稿し、SNS等での危険な集団走行の呼びかけには乗らないことを注意喚起しています。
 この投稿には計4枚の写真が添えられており、何台もの自転車が走行車線の真ん中を走ったり、センターラインをはみ出しながらウイリーしている様子が見てとれます。これらは、バスにつけられたドライブレコーダーの映像で、走行中、反対車線から次々とウイリーしながら走る自転車が現れ、とうとう、センターラインをはみ出した自転車と衝突してしまいます。

 もし、自分が反対車線を走っていたらと思うと「ぞっ」とします。故意による危険行為とみられ、極めて悪質ですね。
 映像を見る限り、まだ中学生らしい体格の少年も多く、危険性を十分認識していたのか考えさせられます。
 この子供たちにとっても、もし事故になったら、命を落としたり、半身不随になってしまう危険性もあり得るので(ヘルメットもかぶっていない…)、何とかして大人が止めさせないといけないですよね。

 9月29日にも、自転車で妨害運転をした少年を逮捕したことを投稿して、このような行為は社会では許されないことを厳しく指摘しています。

≪以上の画像は、愛知県警察の公式ツイッターから引用≫

実際の危険走行の様子は、以下の報道動画で確認できます。

◎自転車でも「妨害運転」が成立する

 自転車は免許の要らない乗り物ですが、道路交通法上は車両の一種です。そのため、他の車両や歩行者の通行を妨げる悪質な運転を行った場合、自動車と同様に道路交通法違反に問われる可能性があります。

 今回の「名古屋ライド」では、ウイリー走行をしながら対向車線にはみ出して路線バスの進行を妨げたり、パトカーの前に割り込んで低速で蛇行運転を繰り返したりする行為が確認されました。これらの行為について、愛知県警は、道路交通法違反(妨害運転)や公務執行妨害の容疑で摘発を行いました。

 一般に「妨害運転」というと自動車によるあおり運転を連想しがちですが、法律上は自転車でも成立します。今回の事案は、自転車であっても悪質な通行妨害が刑事事件として扱われることを社会に改めて示した例といえます。

 なお、道路交通法では、自転車も信号を守る、左側を通行する、一時停止を守る、安全な速度で走行するといった基本的なルールを守る義務があります。
 しかし、近年、自転車関連事故に占める法令違反の割合は高く、警察庁は自転車事故の抑止を目的として交通反則通告制度(青切符)を導入しました。自転車乗用中の死亡・重傷事故のうち、およそ4分の3で自転車側にも法令違反が認められるとされています。

 「名古屋ライド」は一部の少年による特殊な事例に見えるかもしれませんが、自転車による信号無視や逆走、ながらスマホなどの危険運転は全国的な課題です。

◎なぜSNSで拡散されるのか

 「名古屋ライド」が短期間で広く知られるようになった背景には、SNSの存在があります。
 参加者はSNSを通じて集まり、現場で撮影した動画を投稿しています。危険な運転や警察とのやり取りを映した動画は再生数を集めやすく、さらに拡散されることで注目を集める構図です。

 特に、近年のSNSでは、過激な内容ほど注目される傾向があり、集団走行、ウイリー走行、警察からの追跡といった映像は非日常性が高く、視聴回数やフォロワー獲得につながりやすくなっています。
 その結果、一部の少年たちが「目立ちたい」「仲間内で評価されたい」という動機から危険行為をエスカレートさせる可能性があります。

 今回は、パトカーの前でピースサインを見せたり、警察の警告を無視したりする行為も確認されています。また、長久手市内での危険行為で逮捕されたのは瀬戸市と尾張旭市の少年、名古屋市内での危険行為で逮捕されたのは瀬戸市と春日井市の少年で、わざわざ遠くから危険な行為を行うために「遠征」してきています。

 しかし、SNS上で「面白い動画」として消費される一方で、実際には、通学や通勤などで道路を利用する者が危険にさらされています。
 オンラインの世界での評価を求めた行動が、現実世界では重大事故につながりかねないことを理解しなければなりません。

◎交通安全教育の課題

 今回の事件で特徴的なのは、関与した少年の多くが中学生だった点です。
 自転車は子供の頃から日常的に利用する乗り物である一方、その法的責任や危険性について十分に理解しないまま利用されているケースも少なくありません。

 学校での交通安全教育は、ヘルメット着用や一時停止などの基本的なルールに重点が置かれることが多いですが、近年では、SNSを通じた集団行動や動画投稿文化が交通行動に影響を与えるようになり、従来とは異なる視点での教育も求められています。

 重要なのは、「交通ルールを守ること」だけではなく、「なぜ危険行為が人命に関わるのか」を理解させることにあります。
 ウイリー走行や蛇行運転などは、一歩間違えれば自分自身だけでなく、他者を巻き込む重大事故につながります。さらに、その様子をSNSへ投稿する行為は、危険運転を模倣する者を生み出す可能性もあります。

 愛知県警が教育委員会へ注意喚起を要請した背景には、取り締まりだけでは問題を解決できないという認識があると考えられます。
 今後は家庭、学校、地域社会が連携し、自転車も車両であるという意識を徹底するとともに、SNS時代に対応した交通安全教育を進めていくことが求められているのではないでしょうか。

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