市町区村は生活道路に交通安全施設を作るのに交通事故情報が必要と思っているのか

 市区町村では、生活道路で発生した交通事故情報を使って交通安全施設を整備しているのでしょうか。
 総務省行政評価局が行った「生活道路における交通安全対策に関する政策評価」の結果報告書から見ていきます。

 以前のブログ(市町村はどうやって事故の発生状況を把握するのか)で書いたとおり、事故情報を使って交通安全施設を整備するかどうかは、市区町村によって考え方が違っていて、それぞれの割合は次のとおりでした。
 8割近くの市区町村が事故発生箇所のうちの一部しか把握していないか、ほとんど把握していないとしています。

  ≪出典:総務省HP≫

 事故発生箇所を比較的よく把握している市区町村では、次のような方法で把握しています。

 これらの市区町村が事故発生箇所を把握している考え方は、次のようなものでした。

  • 事故の発生状況を把握した上で、道路や交通の環境を見て総合的に検討することによって、施設整備が必要かどうかや事故防止に効果的な施設の種類を決められる。
  • 事故多発箇所に優先的に施設整備する必要があると考え、事故発生箇所と事故内容を把握分析することが重要である。

 とてもまっとうなことを言っているように感じますが、皆さんはいかがでしょうか。

 事故発生箇所の一部しか把握していない市区町村では、多くが次のような方法で把握していて、限定的なものでした。

  • 警察からの要請を受けて現地診断に参加した際などに、事故発生箇所であることの説明を受ける(現地診断とは、死亡事故や重大事故等の発生場所において道路交通環境の改善を検討するために警察が行うもの)。
  • 住民要望の中で「ここは事故発生箇所だ」ということがわかったときに、その確認のため、警察が公開している交通事故マップを見たり、警察に照会して確認する。

  一部しか把握しない市区町村の考え方は、次のようなものでした。

  • 住民要望への対応に追われており、自ら事故発生箇所を把握する余裕はなく、必要性も感じていない。
  • 警察から情報提供があれば参考にすることはあるものの、基本的には事故情報の活用を前提としていない。
  • 多くの事故は速度超過や一時停止違反、運転ミスが原因であり、道路構造や施設の問題ではないため、道路管理者として事故情報の活用は有効でないと考えている。

 忙しくて事故発生箇所を把握できないとするコメントは、把握したくてもできないといったニュアンスも感じられ、理解できるのですが、そもそも把握する必要性を感じないとするコメントは、個人的には???と感じてしまいますね。

 事故発生箇所をほとんど把握していない市区町村では、その理由について、多くが「施設整備の対象は、主に住民要望のあった箇所や、通学路合同点検で改善要望が出た箇所にしている。このため、事故の発生箇所や内容は考慮する事項としての優先度が低い。」としています。

 「事故が多発しているのでなければ、本当に危険かどうか判断しにくい」「自ら事故発生箇所を把握して対策を行っても、その後に事故が起きない保証はない」とする見方もありました。

 市区町村の交通安全対策の現場のことをよく知らないからかもしれませんが、こういったコメントには、なぜこう考えるのだろう???と不思議に思ってしまいました。

 これまで書いたように、市区町村の事故情報への向き合い方は、大きく3つのタイプに分かれています。

  • 事故データを積極的に収集・分析し、施設整備の優先順位付けや施設の種類の検討に活かしている自治体
  • 住民要望や警察とのやり取りを通じて部分的に把握するにとどめている自治体
  • 住民要望や通学路合同点検の結果を主な判断材料とし、事故情報の把握や活用の必要性をあまり感じていない自治体

 これらの違いは、事故原因を道路の課題としてどこまで重視するか、限られた人員・時間の中で何を優先するかという考え方の違いを表しているのでしょうね。

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