
幹線道路での交通事故は、ある程度同じ箇所に集中して発生しているのに対して、生活道路では、様々な箇所に分散して事故が発生しているようです。
とはいえ、生活道路でも事故が何度も再発する箇所があります。これらの箇所に交通安全施設が優先して作られているのでしょうか。総務省行政評価局が行った「生活道路における交通安全対策に関する政策評価」の結果報告書から見ていきます。
調査した413市区町村のうち、事故多発箇所をデータによって把握しているのは288市区町村です。このうち、施設を整備する際に事故多発箇所を重視しているのは188市区町村で全体の45.5%にあたります。つまり、事故多発箇所のデータを施設整備の優先順位に活用しているのは半数弱にとどまっています。

一方で、事故多発箇所をほとんど把握していない市区町村が125、把握していても整備の際に重視していない市区町村が99あり、合わせて224市区町村(54.2%)が事故データを十分に活用できていない状況にあります。
事故リスクの高い箇所に向けて優先的に施設整備することが事故減少に効果的とみられる中、データ活用が進んでいない市区町村が多いことが課題として浮かび上がります。
調査では、事故発生件数が多い中で効果的に事故減少につなげるため、事故多発箇所に重点的な対策を行っている市区町村が確認されています。
- 花巻市では、死亡事故の発生をきっかけに、過去10年間の人身事故が発生した交差点のデータを警察から入手し、事故が多発している「危険交差点」を抽出して施設整備を進めています。
- 越谷市では、警察から提供を受けた過去5年分の事故データを地図化し、5年間で10件以上の事故が発生した85箇所を抽出。関係機関と連携して事故要因を確認し、施設整備と交通規制の見直しを実施しています。
- 岡崎市では、交通事故統計情報のオープンデータを使って、平成18年度から事故多発箇所を抽出して重点的に施設整備を開始。市の検証では、平成18年に20箇所以上あった事故多発箇所が令和3年には0箇所に減少しています。
総務省の分析でも、平成22〜26年度に整備した26箇所の事故件数は整備前後で48.8%減少し、市全体の事故減少率(40.2%)を上回る効果が確認されています。
これらの事例から、事故多発箇所をデータで把握し、重点的に整備することは事故減少に一定の効果をもたらすことが分かります。
一方で、事故データを十分に活用できていない自治体が半数以上存在することから、データ活用の促進が今後の課題になるのではないでしょうか。

コメント