交通事故内容を踏まえた交通安全施設の整備は事故減少に効果があるの?

 総務省行政評価局が行った「生活道路における交通安全対策に関する政策評価」の調査では、市区町村の交通安全対策が、事故を減らすのにどのような影響を与えているかを分析しています。
 調査では、各市区町村の取組内容と、令和元年から令和4年までの人身事故の減少率を比べています。

市区町村が警察と協力して交通安全施設を整備しているか

 「警察と定期的に話し合う仕組み(会議や協議会)があるか?」という質問に対して、「ある」と答えた市区町村は139(35%)、「ない」と答えた市区町村は258(65%)で、多くの市区町村では警察と定期的に話し合う体制がありません。

 事故の減少率を比べたところ、警察と定期的に話し合う体制が「ある」市区町村では平均で26.0%減少しているのに対し、「ない」市区町村では平均で22.1%しか減少していませんでした。つまり、「警察と協力している市区町村の方が、事故が減る傾向がある」という結果になりました。

 交通安全のプロである警察の力を借りることで、効果的な事故防止対策ができるようになり、事故が減りやすくなると考えられます。

市区町村が生活道路でどれくらい事故の発生箇所を把握しているか

 「事故の発生箇所を把握しているか?」という質問に対して、「概ね把握している」市区町村が21%(83市区町村)、「一部だけ把握している」が56%(224市区町村)、「ほとんど把握していない」が23%(90市区町村)で、約8割の市区町村は何らかの形で事故の場所を把握しているけれど、しっかり把握しているところは少ないということがわかりました。

 事故の発生場所を把握している市区町村とそうでない市区町村の事故の減少率を比べたところ、把握している市区町村(「概ね」+「一部だけ」)の平均減少率は24.3%であったのに対し、把握していない市区町村の平均減少率は20.5%で、「事故発生箇所を把握している市区町村の方が、事故が減る傾向がある」という結果になりました。

 事故が起きた箇所を知っていると、危険な場所に施設を整備できる、住民に注意を呼びかける、道路を改善する(幅を広くする)など、事故防止に効果的な対策ができるようになり、事故が減りやすくなると考えられます。

市区町村が生活道路でどこを優先して施設を整備するか

 「事故データを使って整備箇所を決めているか?」という質問に対して、「概ね事故データを参考にしている」市区町村が12%(46市区町村)、「一部の箇所だけ参考にしている」が44%(174市区町村)、「ほとんど参考にしていない」が44%(176市区町村)で、事故データをしっかり使って整備箇所を決めている市区町村はとても少ないことが分かりました。

 ただ、「事故データを使っているかどうか」だけを見ても、本当の効果は分かりません。なぜなら、事故データを使うためには、そもそも事故がどこで起きているかを把握できていることが前提だからです。そこで、①事故の発生箇所をきちんと把握しているかどうか、②事故データを使って整備箇所を決めているかどうかの2つを組み合わせた比較(クロス集計)を行いました。

 その結果、「事故の場所をほとんど把握していない」かつ「事故データを使っていない」市区町村(64市区町村)の事故減少率は19.9%、それ以外の市区町村(332市区町村)の事故減少率は24.2%で、「事故実績に関するデータを何らかの形で活用する方が、事故が減る傾向がある」という結果になりました。

 市区町村の予算が限られる中、事故データを使うことで、危険な箇所を正確に見つけられ、その箇所に他よりも優先して早く安全対策がとられることで、事故が減りやすくなると考えられます。

市区町村が生活道路での事故発生箇所どのような施設を整備するか

 「事故発生箇所に整備する施設の種類を検討する際に、事故内容(どの方向からぶつかったか、原因は何か)を参考にしているか?」という質問に対して、「概ね参考にしている」市区町村が33%(131市区町村)、「一部の箇所だけ参考にしている」が45%(178市区町村)、「ほとんど参考にしていない」が22%(88市区町村)で、事故内容をしっかり使っている市区町村は3割しかありませんでした。

 事故内容を参考にするためには、 そもそも事故がどこで起きたかを知っていることが前提であるため、この2つを組み合わせた比較(クロス集計)を行いました。

 その結果、「事故内容をほとんど参考にしていない」かつ「事故発生場所をほとんど把握していない」市区町村(31市区町村)の事故減少率は17.2%、それ以外の市区町村(366市区町村)の事故減少率は24.0%で、「整備する施設の種類を決める際に、事故内容を何らかの形で活用する方が、事故が減る傾向がある」という結果になりました。

 事故内容を使うと、どんな事故が起きたのか(横から?後ろから?スピード?)、なぜ起きたのか(見通し?スピード?歩行者?)がわかります。その結果、カーブミラーを置くべき場所、スピードを落とすための対策、歩行者を守るための施設など、事故の原因に合った対策ができるようになります。そのおかげで事故が減りやすくなると考えられます。

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