
生活道路に交通安全施設を整備する際、市区町村は、交通事故のリスクが高い箇所を発見して、整備の優先順位付けなどに活用しているのでしょうか。
総務省行政評価局が行った「生活道路における交通安全対策に関する政策評価」の結果報告書から見ていきます。
まず、事故リスクが高い箇所には、次の2種類があります。
- 実際に事故が何度も発生している箇所(事故多発箇所)
- 事故は発生していないが、そのリスクが高いと考えられる箇所(潜在的な高リスク箇所)
例えば、交通量が多い箇所、スピードが出やすい箇所、一時停止が守もられない箇所、急ブレーキ・急ハンドルが起きている箇所、ヒヤリハット(事故に直結する一歩手前の出来事)が発生している箇所
市区町村では、これらの箇所をどうやって見つけているのでしょうか。
総務省が調査した市区町村のうち、9割を超える386市区町村は、住民からの要望を受けることによって発見しており、8割を超える345市区町村は、市区町村職員等が行う通学路合同点検によって発見するとしています。

「通学路合同点検」とは、聞きなれない言葉ですが、学校、道路管理者、警察などの関係者が合同で通学路の安全点検を定期的に実施する取組のことです。点検する箇所は、学校が自らチェックしたり、保護者、地域住民からの情報を基にして決めています。実質的には、住民要望があった箇所といったところですね。
つまり、ほとんどの市区町村が住民要望によって事故リスクが高い箇所を発見しています。自ら探しに行くというよりは、受け身な姿勢に感じます。
それに対し、約1割の45市区町村のみがETC2.0などのビッグデータを活用して把握していました。自ら積極的に事故リスクが高い箇所を探して見つけようとしていますね。

ビッグデータ(交通事故統計情報のオープンデータや自動車のプローブ情報)によって把握している市区町村からは、次のような考え方が示されました。
- 住民要望や通学路合同点検では把握できなかった高リスク箇所を把握することが可能となる。
- 職員の経験則で判断するのではなく、客観的にリスクを判断できるようになった。
- 潜在的な高リスク箇所を把握することにより、住民要望がない箇所についても先んじて対策できるようになった。
さらに、住民要望によって事故リスクが高い箇所を発見している市区町村から次のような意見も出され、住民要望だけでは全てを把握できないことがうかがえます。
- 地域によって交通安全意識に温度差があるなど、全域で同じように事故リスクに応じた住民要望が出されるとは限らない。
- 住民要望は、リスクを歩行者目線で判断したものが多く、ドライバー目線で判断したものが少ないおそれがある。
住民要望は、現場の道路の状況や交通環境を一番よく知っている地元の方が危険と感じている場所を情報提供してもらえるものであり、有意義で貴重な情報だと思います。
一方で、市区町村はそれだけに頼っていていいのか、自らデータを使って事故リスクが高い箇所を探してみてもよいのではないかと感じました。皆さんはどう思いますか。

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