
市区町村が生活道路において交通安全施設を整備する箇所を決める際、交通事故の実績をどの程度参考にしているかどうかには大きなばらつきがあるようです。
総務省行政評価局が行った「生活道路における交通安全対策に関する政策評価」の結果報告書から見ていきます。
総務省が調査した413市区町村のうち、施設の整備箇所を選ぶ際、事故実績を「おおむね参考にしている」と回答した市区町村は11.4%にとどまり、「一部の箇所で参考にしている」が43.8%、「ほとんど参考にしていない」が44.6%です。
事故データの活用が十分に進んでいない状況が浮き彫りになりました。

一方、事故実績を積極的に活用して優先順位を決めている市区町村では、次のような例があります。
- 千葉市では、住民から要望があった箇所を整備候補とする際、都道府県警察の事故マップなどで事故件数を確認し、死亡事故や事故多発箇所を特に重視して優先順位を高くしている。
- 久留米市では、原則として現地の交通環境を確認して判断するが、それだけでは判断が難しい場合、市独自の事故マップを参照して整備の必要性を判断している。
さらに、事故実績だけでなく、より多様なデータを組み合わせて優先順位を決める高度な取り組みもあり、これは、潜在的な危険性や地域の特性を踏まえた高度な意思決定の例です。
- 尾張旭市では、令和5年度から従来の「住民要望を起点とする方式」を転換し、①交通事故統計情報のオープンデータにおける生活道路での歩行者・自転車事故の5年間の発生状況、②ETC2.0情報による急挙動・走行速度・走行経路などのデータ、③小中学校・保育園の配置や通学者数、④生活道路からアクセスできる公共施設・医療機関の位置などを総合的に分析し、優先的に整備すべき地区や路線を選定している。
このように、事故データの活用状況は自治体によって大きく異なっています。
事故実績をほとんど使っていない自治体が多い一方で、事故マップやETC2.0情報などのデータを積極的に活用し、科学的根拠に基づいて優先順位を決める自治体もあります。
限られた予算や体制の中で効果的・効率的に施設整備を進めるためには、事故リスクが高い箇所を把握し、データに基づいて優先順位を決めることが重要であることが、これらの事例から読み取れます。

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