幹線道路での事故対策とは

 少し古いデータになりますが、幹線道路では、死傷事故の6割が全体のわずか1割程度の区間に集中して発生しています。
 ちなみに、幹線道路の87万区間(20万km)のうち、死傷事故が発生しているのは、36%の区間のみです。なんと64%の区間では、死傷事故は発生していません。

≪出典:国土交通省HP≫                                       

 国は、幹線道路での交通事故対策として、「事故ゼロプラン」や「事故危険箇所対策」を進めています。これらでは、各種のデータに基づいて対策箇所が決められ、事故の原因に応じて、道路の改良(拡幅、右折レーンの設置、車線の増設)、路面のカラー化、ドライバーへの注意喚起のための路面標示(減速、停止、カーブ)などの多様な対策がとられています。

事故ゼロプラン

 事故ゼロプランとは、交通事故の危険性が高い区間を選んで重点的に対策をとることで、効率的に事故を減らそうとするものです。
 この区間には、事故データ(死傷事故率、重大事故等の発生件数等)に基づくものと、地域住民や利用者の声でわかった区間があります。

 例えば、国土交通省が作成した三重県の事故ゼロプラン(平成22年当時)は、このような内容のものです。

 まずは、県内の事故件数とその推移が分析され、他の都道府県との比較がされています。
 三重県は、人口当たりの死亡事故件数が全国ワースト3位、人口当たりの死傷事故件数が全国ワースト16位だったようです。

≪出典:国土交通省中部地方整備局HP≫                                        

 次に、事故危険区間の選び方が説明されています。
 三重県では、事故データに基づく選び方として、死傷事故が4年間で4件以上発生している区間、重大事故が4年間で2件以上発生している区間などを対象にしています。

≪出典:国土交通省中部地方整備局HP≫                                     

 選んだ区間では、事故に関するデータから事故の要因を特定した上で、効果的な事故対策をとっていきます。
 さらに、事故対策をとった後には、事故が再発していないかをチェックして、場合によっては、追加の対策をとることにしています。事故が再発しないよう、徹底していますね。驚きました。

  ≪出典:国土交通省中部地方整備局HP≫                                       

事故危険箇所対策

 国は、交通事故が多発している箇所や、事故は起きていなくても今後起きるリスクが高い箇所を「事故危険箇所」(令和4年3月時点2,748箇所)として指定しています。

 道路管理者と警察は、事故危険箇所に向けて、事故防止策をとっています。例えば、道路管理者は、次のように、交差点を改良したり、車線数を増やしたり、人が道路を横断することを防止する柵を作ったりしています。 

  ≪引用:国土交通省中部地方整備局HP≫

 事故が多発している箇所とは、次の条件を全て満たす箇所とされています。
 ・死傷事故率が100件/億台km以上  ・重大事故率が10件/億台km以上 
 ・死亡事故率が1件/億台km以上

 国は、事故は起きていないが今後起きるリスクが高い箇所をどうやって見つけているのかわかりますか…。
 国は、ビッグデータ(膨大な量のデータ)であるETC2.0プローブデータを使って見つけ出しています。ETC2.0といえば、高速料金の割引を受けるために車に取り付けているあれですよね。こんなことに使われていたなんて。全く知りませんでした。

 ETC2.0の機器からの情報が収集され、その車の走行速度、急ブレーキ・急ハンドルなどがわかるようで、スピードが高いところや急ブレーキ等が多く発生しているところは、事故のリスクが高いと判断しているのだと思われます。便利な時代ですよね。

 ETC2.0プローブデータとは、ETC2.0車載器を搭載した車両から収集される走行履歴や挙動履歴のことで、道路での車両の交通量、走行速度、走行ルート、急ブレーキ・急ハンドルなどの状況がわかります。

≪引用:国土交通省HP≫                                  

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