車のスピードと死亡事故との関係はどうなっているのでしょうか。
交通事故総合分析センターが発行しているイタルダ・インフォメーション(NO.79)のデータを見ながら考えていきたいと思います。
歩行者の死亡・負傷事故について、衝突した車のスピードを見てみます。すると、20km/h以下の低速のケースが67%を占めています。
次に、歩行者の死亡事故だけについて、衝突した車のスピードを見てみます。すると、先程とは全く違い、20km/h以下の低速事故の割合は17%しかありません。代わりに31~60km/hの中高速事故が64%を占めています。


つまり、車が低速で歩行者に衝突した場合は、中高速で衝突した場合よりも、歩行者が死亡する確率が低くなっています。まぁ、感覚的には納得できる結果です。
このことを違う面から眺めてみます。
歩行者と車が衝突した事故について、車のスピードと歩行者が死亡する確率を見てみると、車のスピードが速くなるほど歩行者の死亡確率が高くなります。
11~20km/hの事故での死亡確率は0.9%に過ぎないですが、41~50km/hの事故では14.9%と16倍、51~60km/hの事故では28.7%と31倍にもなっています。

衝突した車の運動エネルギーは、車の重量に比例し、スピードの2乗に比例するとされています。つまり、車のスピードが速ければ速いほど、事故発生時の衝撃は大きくなります。まぁ、当たり前ですよね。

別の研究では、歩行者は、30km/h で走る車に衝突されても90%は生存できていますが、50km/h で走る車だと20%しか生存できていません。この差は大きいと感じます。
歩行者の生存確率が急激に下がり始めるのは、30km/h を超えたあたりになっています。この「30km/h」という数字が交通事故防止対策のキーワードになっていきます。

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